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僕が君を好きになったのは高校2年の春。
クラスが変わって仲の良い友達とも離れて落ち込んでいたときだった。
僕の隣の席に君が座ったんだ。
「はじめまして、私河野夕莉って言うの!よろしくね?」
そう言って手を差し出してきた君に僕は一目惚れしたんだ。
「竹内君って面白いね!」
僕のくだらない話で大げさに笑ってくれる君。
「……実はね?」
僕に好きな人を恥ずかしそうに明かしてきた君。
「ぐす、どうしよう」
泣きながら相談してきた君。
「聞いてよ竹内君!」
嬉しそうに告白の結果を言ってきた君。
「もう!なんで!?」
怒って机を叩く君。
「え?いいけど……」
僕の誘いに戸惑ったような顔をする君。
「ま、待ってよ!何で!?」
焦ったように怯える君。
「最低……だよ」
蔑んだように僕をにらむ君。
どんな君だって美しく可憐だ。
「あーあ、僕と付き合ってくれればこんな目に遭わなくて済んだのにね」
涙で頬がぬれた君を抱きしめて苦笑する。
「君はちょっと抜けてるところあるからね、そんなとこも好きだけど」
薄く開いた君の口と自分の口を重ねる。
「ふふ、でももう大丈夫だよ」
にっこりと笑いながら君の顔の至る所にキスの雨を降らす。
「僕とこれからもずーっと一緒にいようね」
もう二度と君の口から言葉が出ることはないのが少し残念だ。
「でも良いんだ」
思い出の中の君がいるからね。
「ゆーり、あいしてるよ」
だんだん冷たくなっていく君が微笑んだような気がした。
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