He got a god

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「今すぐ追い払え。じゃないと、お前色んな意味で死ぬぞ」その男について、同僚の三岳に尋ねるなり、即答だった。 「でもさ、まだ『ヤバい人』だって決まってないんだぜ」 「だとしても、十分怪しいぜ。ドライアイスを持ち込んだバスローブマンなんて」確かに、昨日家に勝手に上がり込んできた奴は、おかしな人だった。『神のパゥワー』とか、聞き捨てならないことを口走っていた。それは今朝もまだ続いていた。 自称神のせいで強制的に眠らされたので、今朝は目覚ましをかけ忘れた。もちろん、遅刻ギリギリで起床すると、そいつは、「よく起きたな、オレの(しもべ)よ。オレのパゥワーから脱出するとは、お前、見込みあるぜ。よし、決めた!お前をオレの弟子にしてやろう。その前に、朝食作っといたから、食えよ」とか言っていたが、遅刻ギリギリだったので、無視して家を出た。そいつを追い払うことを忘れていたのに気づいたのは、会社の最寄り駅に着いてからだった。 退勤する際、三岳に「ちゃんと警察に通報しとけよ」と念を押されたのだが、忘れていた。 残業をせずに退勤したのだが、我が家の戸を開けたのは、深夜三時ごろだった。不審者と鉢合わせないように時間を潰したから、丑三つ時の帰宅になったのだ。会社のビルを出た後すぐ夕食を取り、家の最寄り駅の漫画喫茶で仮眠をとったから、眠気はあまりない。 静かすぎる夜の中を歩き、ドアを開けると、案の定そいつは寝ていた。年齢は二十代前半ぐらいだろうか、少年らしさが寝顔にあった。若造が人ん家に勝手に上り込むな、そう耳元で怒鳴ってやりたかったが、近所迷惑になりそうなので、やめておいた。
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