127人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
女王様へのご奉仕
「またか」
高瀬千歳は届いたばかりのメールを見終えるとスマートフォンをしまった。
「千歳、何がまたなんだよ?」
千歳の呟きが聞こえたのか、今年、中等部から高等部に進学して初めて同じクラスになった瀬戸亮太が聞いてきた。
「愛しのラブコール」
千歳がウインクをしながらそう言うと、亮太はあからさまに嫌そうな表情をする。
「女の子からしてみればお前のその顔は好評なんだろうけど、同じ男からしてみれば腹が立つし、ウインクなんてキモイ!」
(ちょっとした冗談のつもりだったのに失礼な奴だな)
今日はやたらと絡んでくる亮太を千歳が不思議に思っていると、亮太の行動がエスカレートしてきた。
「その嘘くさい眼鏡も、実は伊達だろ! 女の子の気を引こうとして、わざとかけてるんだろ!」
そう言って亮太は千歳の首元のネクタイを本気で絞めてくる。
「ちょ、ちょっと、マジに苦しいって……何なんだよ、急に」
確かに千歳は眼鏡をかけているが、それは伊達でもなんでもなく、実際に視力がよくないことは亮太も当然知っているはずである。
最初のコメントを投稿しよう!