女王様と初下校

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 クラスが同じになった時に知った優弥の連絡先だったが、いつもメールは優弥からエッチをする場所だけが送られてきて、千歳が返信をすることもなければ、お互いに電話で話すことなんて一度もなかった。  初めて電話を、しかも自分から連絡をするのかと思うと柄にもなく緊張して発信ボタンがなかなか押せない。  しかも……、 (昨日、勝手に『優弥』って名前で呼んじゃったんだよなぁ……)  そう思って千歳はため息を吐いた。  昨日のあの後、和彦達に指摘されて優弥のことを名前で呼んでいたことに気づいた千歳は、悩んでいた。  あの時は、必死だったからつい呼んでしまったが、冷静になった今も名前で呼んでいいものか迷う。 (でも、今さら『深海』って戻すのもなぁ……優弥本人にも名前で呼んだの聞かれてるし)  そんなことまで考えて悩んでいる間にも、朝の時間はどんどん過ぎていく。  このチャンスを逃したら、優弥はいつも通り車で家へと帰ってしまう。 (覚悟決めたんだろ、俺!)  時間が経てば経つほど、きっと優弥と話しづらくなるに決まっている。  千歳は大きく深呼吸をすると、スマートフォンを持ち直して姿勢を正す。  呼び方なんて、相手が出たらその場でどうとでもなるはずだ。 (よし!)  そして、覚悟を決めて発信ボタンを押してから耳を当てる。  呼び出し音が一回、二回と聞こえるが、いつもと違うような感じがするから不思議だ。     
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