133人が本棚に入れています
本棚に追加
千歳は優弥の身体を自分から離すと、その肩を両手でしっかりと掴む。
「それに関して、俺は優弥に謝らなきゃいけないことがある」
「高瀬?」
優弥の顔を真っ直ぐに見て言った千歳に、優弥は何だかわからず戸惑っているようだ。
千歳はベンチから立ち上がると、優弥の正面へと立った。
「ごめんっ!」
「高瀬っ!」
いきなり頭を下げた千歳に優弥が驚いた声を出すが、それを気にせず千歳は謝り続ける。
「優弥が他の奴にも抱かれてるみたいな言い方して……本当はそんなことなかったのに、気づいてあげられなくて本当にごめん」
今はなんともない、優弥に叩かれた左頬が痛む気がした。
でも、あの時の優弥は自分なんかの何倍も心に痛みを感じていたはずだ。
「俺があんなことさえ言わなければ、優弥が相馬を生徒会室に連れて行くことなんてなかった。全部、俺のせいだよ。今さらって思うかもしれないけど……本当に悪かったと思ってる。これでも足りないなら、土下座しても……」
「やめろ! 高瀬っ」
その場に膝をつけて土下座しようとした千歳の身体に優弥が抱きついてきて、それを阻止した。
「優弥……」
「そんなこと、しなくていい。お前のせいじゃないから。相馬から聞いたんだ……俺、『学園の女王様』って呼ばれてたんだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!