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花瀬から逃げ出し、生徒会室へ向かう。
そういえば、昨日碧衣さんがわざわざ俺のところまで訪ねてきたのは、先日の新歓祭で俺を襲ったのがDクラスの人間だと聞いて、一言謝罪しに来たらしい。
まあ、ほんとに一言『うちのが悪かったな!』だけだったけど。まじで一言。
委員会ごとの教室や、職員室などのある校舎についたところで、神出鬼没な気配を感じた。
「おお、そこの黒いちっこいのはシグじゃんか」
「黒髪なのは認めるがちっこくはない!誰だ失敬な!!」
黒いの、とこのグレーの髪の人は言うが、日本人はだいたい黒っぽい髪だと思う。身長も平均的だ。俺IS平凡。非凡なのはあんただよ。
つか普通に失敬な、とか言ってしまった。身分も学年も上の人に失敬なのはどっちだよ。
「まーまー、怒るな。生徒会室に用なんだろ、俺もだから行こう」
「先輩は俺が先輩担の同担拒否過激派に殺されてもいいんですか…?」
「親衛隊については問題ない、とくにシグのとこはな」
ふぅん、と流しかけた。今の、俺の姉からの知識全開な言い方でも伝わるとかすげーな志樹先輩。
それからもなんとなく他愛ない話をしながら、生徒会室に、迷わずつけた。
「…シグが先にお入り」
「はあ、じゃあ失礼しま…」
何故か先を譲ってくれたので、無駄に重厚感のある扉を、繊細な装飾の施されたもはやつかみにくいドアノブを握って押し開けた、途端。
「ぎゃ」
あっぶねー!!!なに、後ろでガチャンって割れた音しましたよ!?
振り返ると、にやにや笑う志樹先輩と、粉々に砕け散った(多分ウン十万する)元ティーポットが廊下に散乱していた。
「シグ、さすが。反射神経いいな」
「笑ってる場合ですか、風紀委員長でしょ」
そうだっけ、みてーな顔すんじゃねえ。そうなんだよ。どうにかしろよ、風紀乱れてんだろ。
生徒会室の中を覗くと、…そこはカオスで。
「鼓!双子ってばまた俺にモノなげてくるんだよ!」
「「うるさい!どっか行って!」」
「二人共、落ち着いてください!ハジメも今日は寮に帰りましょう、送りますから」
「「はやくどっか行って!!」」
「ひょわっ、…ぶっ」
双子の手から放たれたクッションがこっちに見事に飛んできた。片方は避けたが、もう片方は見事に俺の顔面にヒットした。
「「あっ」」
…あっ、じゃねーよ。
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