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副会長の指摘に、まったく悔しくなさそうな顔で「ちぇー」とむくれた。
「副会長はめざといなぁ、つまんなーい」
「高校生にもなって口を尖らせないでください、情けない」
そんな様子を黙ってみていた会長は、自分のデスクに座ったまま、パンパン、と手を叩いた。注目を集めると、尊大な態度で自分に顔を向ける生徒会メンバーに命令する。
「いい加減にしろ、お前ら。もう合宿まで日もねえんだ、自分の仕事くらい終わらせてから遊べ」
そうやって自らの部下を叱るところはさすが、生徒会室をでると性欲の化身と化すが、生徒会室内ではマトモな会長、と役員の中で評判の会長だ。
証拠に、会長のデスクにあった、誰よりも山高く積まれていた書類は半分ほどに減っている。
自分の書類の量と見比べた隼と、さっさと昴から逃げたかった副会長はそれぞれ小さく
返事をして、自分のデスクに戻った。
まだ遊び足りない顔の昴も、遊び相手がいなくなったからか、しかたなさそうに自分のスペースに身を収めた。
「…んん?待って待って、かいちょー、双子がいませーん!!」
一度席についたはずの昴が、唐突に声を上げた。
他の役員は、それに驚いて肩を震わせたり、鬱陶しげに顔を上げたり、無反応だったり、三者三様の反応を見せる。
「あ?双子ならそこのソファで昼寝でもしてんじゃねぇのか」
会長の言葉に、すすすとソファに寄った隼は、奥を覗き込んで、ゆるゆると首を振った。
「かいちょ…ふた…いな…」
「なら、多分あの双子のことです、もう帰ったんでしょう。今日のノルマは提出済ですし、かまいません」
昴はここだとばかりに「はいっ、はいっ!」と手を振りまくる。
その鬱陶しいまでのアピールに露骨に眉をしかめつつも、副会長は話を聞いてやる体制を整えた。
「心配だから寮まで様子見に行ってくるよぉ、俺!」
「サボりたい欲が丸見えです。せめて今日のノルマくらいはおわらせなさい」
…やはり副会長は面倒だ、と昴は心の中で舌打ちした。
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