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神連れ
僕の名前は、神庭 遊(かんば ゆう)二十歳だ。
僕は幼い頃から体が弱かった。
何かといえば、すぐに高熱を出すのだ。
一度、僕は死に掛かった。
病院でもわからない、原因不明の高熱が1週間続き、
ついには意識がなくなったのだと母が言った。
僕がたぶん5歳くらいの時だ。
その時は、まだおばあちゃんが生きていて、おばあちゃんは
近所の古い神社の祠に毎日のように願掛けに通ったそうだ。
僕の熱が下がり、僕が意識を取り戻すようにと、
多いときは朝に夕に願掛けに出かけたそうだ。
しばらくして僕は意識を取り戻し、それからは嘘のように
熱が引いていったそうだ。
おばあちゃんの願掛けがきいたのだと、家族は喜んだ。
おばあちゃんはますます信心深くなり、その神社の小さな祠への参拝を
亡くなる前まで欠かさなかったのだ。
それからも僕はやはり体が弱く、よく熱を出したが、命に関わるような
大病はしなかった。
そして僕は体も弱かったが、運も無かった。
僕が楽しみにしている行事にはことごとく雨が降った。
遠足、修学旅行、キャンプ、ことごとく雨が降った。
よく、つまらないことで怪我もした。
自分では気をつけているつもりなのに、思わぬところに障害物があったりして
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