這いずる神、裳裾より入る

贄の儀式

　髪は結わずに、そのまま垂らしています。黒く、艷やかな髪に、深い藍色の衣、肌は青白く、見る角度によって、鱗のようなものものぞき見えます。

「お前の、名は？」

　低く、しかし、どこか甘く、耳に響いてくるような声でした。

「ミヒロ、と、申します」

　問われるままに、ミヒロが答えると、貴公子は優しげに微笑み、

「では、ミヒロ、こちらへ」