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そんな愛乃神社に、私は珍しく本気でお願いごとをしにやってきていた。人気のない神社だし、登下校の時間などには境内に居るだけでも目立ってしまう。私は誰かに見られる可能性が少ない早朝を選んだ。
まだ御日様の光も強くなく、ほんのりと明るくなり始めた早朝に、玉砂利を踏みしめる音が響く。私の足はゆっくりと愛乃神社の本殿へと向かっていた。鳥居をくぐって、10メートルほど歩くと、そこに小さな本殿がある。
私は早速自分の財布から小銭を取り出し、賽銭箱の中に静かに投げ入れた。チャリンと音がして、五円玉が賽銭箱の中に消えていくのを確認すると、私は頭を2度下げる。そして、2度手を叩き、再び頭を下げながら、自分の今の願い事をこの神社の神様に心の声で届けようと、必死にお願い事をした。
私は頭の中で、何度も「タケルさんと両想いになれますように……」と願う。
愛乃神社の神様、聞こえていますか?
聞こえていたら、どうぞこの願いを叶えてください……。
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