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『地獄摺狸』と呼ばれる地獄の化け狸を傀儡に憑依させて作られた傀儡。生贄の儀式は作られた後も終わらなかった。『地獄摺狸』は霧谷家に生まれてくる女の子が満15歳になったら自分に捧げるように要求した。その頃から不思議と霧谷家に生まれてくる初めの子は女の子であった。その要求をこなし霧谷家の当主は『地獄摺狸』を使い裏の仕事を多数こなしていった。誰の姿にもなれる変化の力、対象を捻りつぶせる地獄の化け狸の力を持った傀儡は、使い勝手がよかった。当主は、陰陽寮から追い出される原因となった、盗んだ神刀を持って『地獄摺狸』を操った。
時に権力者を殺し、『地獄摺狸』を使い、生きているように振舞わせ霧谷家に有利になる様に事を進めたり。絶世の美女に変化させ、対象を誘惑し情報を引き出したりもした。チャイニーズマフィアを潰した時は、わざと見つかるような所で、身内が身内に殺されているように演出し、同士討ちを誘い、疑心暗鬼になっているところを一人一人丁寧に潰していった。
そんな霧谷家に生まれた美空は、生贄の儀式を家族から教えられることはなかったが、美空には多数の女の子姿が見えていた。そして禍々しい気配がするものが厳重に管理された大きな蔵にいるのもわかっていた。女の子達は、自分の姿を見ることが出来る美空に対して、色々なことを教えてくれた。霧谷家が今までどんな風に成り立ってきたのかということを、自分達がどういう風に殺されたかを。美空は次期当主になる弟の『地獄摺狸』を使った初めての仕事の犠牲者になるであろうことも教えられた。ただ美空は弟のことが大好きであった。女の子ようにしなやかで肌が白く、一緒に駄菓子屋に買い物に行ったときには姉妹だと間違われるくらいであった。弟も優しい美空のことを慕っていた。そんな弟は小さな頃から、あの人や楯無に色々な稽古をつけられていた。武道と名の付くあらゆるものを、楯無が弟の訓練を担当している時には、美空に強くは言えず、一緒に訓練を受けさせたが、あの人は美空と弟が一緒に訓練をすることを許さずその時は美空にピアノを習わせるように母に言いつけ、母にピアノのレッスンをして貰っていた。美空が、一緒に弟と訓練を積んでいたのは弟同じように強くありたいということと短い時間ではあるが弟と一緒に居たいという動機だった。
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