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美空は、女の子達の話を受け入れ、自分が死ぬ事を受け入れていたので、一日一日を大切に生きるように努力した。美空が一二歳を迎えたころ、女の子達が貴方に選択肢を与えるために私達は旅立つと言って、消えてしまった。それからは女の子達の姿を見ることはなくなった。美空は、自分は幻覚を見ていたんじゃないのかと思ったが、蔵の禍々しい気配と、あの人が私のことを遠ざけ、私の事を見るときの大嫌いなあの目がその可能性を否定した。人を物のように見下したあの目。
弟に殺されることは容認できても、あの人の存在は許せなかった。
そしてとうとう15歳になるその日、美空はあの人に呼ばれた。母に白い着物を着せるように指示をしてさっさと部屋を出て行った。弟の所に行ったのであろうと想像はついた。
母は美空の綺麗な黒髪を櫛ですき、束ね、白い着物を着せ始めた。母が美空の後ろに回り帯の位置を調整している時に、ドサッと畳の上に倒れる音がした。その音に美空は驚き、後ろの母を見ると、今までどこに行っていたもわからなくなっていた美空だけに見える女の子達が並んでいた。
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