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ミッドナイトナタリー
陸橋を下り、新幹線の高架下を抜け、左に見える高速道路料金所を過ぎた少し先を右に入ると、ミッドナイトナタリーと書かれた看板が目に入る。自動ドアを抜け、大理石のエントランスを奥に進み、エレベーターに乗り込んで下に降りる。エレベーターを降りると、上に四角く『上映中』と緑の字が光っている標識があり、その下にはベルベット地のドアがある。そのドアに付いている黄金の取っ手を掴んで開けた。
映写機からスクリーンに光が映ってはいるがなんの映像も流れてはない、ただ規則正しく並んでいる質のよい座席には一人だけ肘をついて座っている女性がいた。長い金髪に、黒いドレス、日本人離れした鼻の高さ、睫毛は長く、青い目をしていた。
西洋絵画から抜け出たような横顔をこちらに向け、お疲れ様と戻ってきた三人に声を掛けた。「ナタリーさんもお疲れ様です」とDBが声を掛け、流動魔石が入ったケースをナタリーが座っている座席の横に置いた。
「お腹空いてるでしょ? 食事を用意しといたから食べていくといいは、もちろんパフェも用意してるから色々乗ったすごいやつ」ナタリーはいたずらっぽく笑った。
野乃は嬉しさを爆発させて声もでないようで。足をジタバタさせて喜びを体でアピールした。美空は少しだけナタリーに頭を下げて、スクリーンの方に向かった。DBと野乃もその後に続く。三人はスクリーンに手を当て暖簾を押すように軽く力を込めスクリーンを飛び越えた。飛び越えた先も全く同じシアタールームのそれであった。ただこちら側は、ライトが点けられ部屋は明るく、映写機も回ってはいない。来た時と同じように、ドアを開け、エレベーターを上にあがる。大理石のエントランスに出ると夕日の眩しい光を外の道路を走り抜けていった車が反射するのが見える。
エントランスの横の階段を、上に登って二階に上がる。重厚な木の扉を開けると、奥にバーカウンター、左の方にはライトアップされたグランドピアノ、中央の席にはコース料理がまとめて置かれていた。もちろんその中にはパフェも置かれている。料理が置かれた席に三人は座り、スープ、オードブル、メインと適当に置かれているものを思い思いにつまんだ。ビシソワーズを飲んだそのスプーンで、野乃はパフェを食べる。両方とも野乃の大好物であった。
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