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霧谷美空という葬送士の日常と考察 ep.1
DBは車に乗った時から、文字盤が青くブラックセラミックのベルトの最近購入した腕時計をずっと触っていた。それを買うためだけにわざわざ東京まで1時間以上かけて行ったらしい。野生ね、美空と野乃はそんなDBの姿を見ながら先程の店の会話の中で出たその言葉を反芻する。
「そういえばメアリーが店に来てたじゃない、またなんかあるのかもしれないはね」野乃は言った。
「なんかってこっちの世界でってことかしら、退屈な作業じゃなきゃいいけど」
「この前メアリーが住んでるラブホテルに情報を狙ってきたやつをボコったのはいいけれど、ちょっと暴れすぎてその音に驚ろいて出てきた客二人が看護婦と制服姿のおっさん二人なのは衝撃だったじゃない」
「私が求めてるのはそういうのじゃないのだけれど」と言って美空は、あの時は悪いことしたなとクスリと笑った。
「スピードを上げますお嬢、トライアドです」日数が言った。月数はすぐにグローブを嵌め、サバイバルナイフを取り出し日数にも渡した。
「美空のところのこういう話どうにかならないの」
「私のせいじゃないわよ、霧谷家自体が恨み買い過ぎてどうしようもないのよ…私はもうこういうこと関わりたくないのに」
「DBさん以前のようにお願いできますか?」運転している日数がバックミラーを覗き込みながら言った。
DBは腕時計をいじるのをやめて、サングラスをずらして左目を抜き取る。
「クレール出ておいで」ネクロマンサーのDBは『影の棺』から赤の花嫁のクレールを呼び出し、日数と運転を交代させた。DBのグライアイの目はせわしなく動いて浮遊している。日数と月数は、窓から飛び出し車の上に出た。後ろに付いてきている車に乗り移れそうなタイミング見計らって、クレールはスピードを抑える。ガンガンガンと何か撃ち込まれている音がした後続いて、月数と日数が同じようなタイミングで車の上をを蹴る音がした。
DBは上を見上げ「ナイスタイミング、クレール愛してます」と言った。車の後ろの方で急ブレーキがかかる音とスリップ音が聞こえ、何かに衝突する鈍い音がした。そのまま距離を取る様に車を走らせ続けた。
「他に追ってくるものはなさそうですね」DBの魔力によってOL風に偽装されたクレールの運転で30分程車を走らせた。
「港でよかったんでしたっけ?」
「港まで行かずに、もう2本先の交差点を右に入って、防波堤に向かってください」
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