神様の見る映画

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「もし良かったら、君の人生の端役として、私を覚えておいてほしいのです。もう私はいなくなりますから」 画面が切り替わる、大きくなった少女が誰かと食事をする風景、仕事をする風景、子供と遊ぶ風景、これは……未来の私。 「ありがとう、君の映画を見せてくれて。だから思い残すことはない」 老人は立ち上がると、ニコリと笑い、 「さようなら」 暗転、スクリーンは真っ暗闇になった。 老人は、どこにもいなくなった。煙草臭い客席の一番前で、泣きじゃくる私がいるばかりだった。 次の日、腫れた瞼を擦り外に出ると、一階の映画館から、ぼろぼろになった客席や幕が運び出されていた。映写機も取り出されていた。そこには小さく『フランス製』と書かれていた。 ようやく、あの人は神様だった、そう思うことができた。
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