10人が本棚に入れています
本棚に追加
映画が終わった。手書きのスタッフロールが流れる。
「じゃあ、そろそろ私の質問に答えてくれてもいいんじゃないです?」
「質問というのは?」
「おじいさんは、本当は誰で、どこの人なのかを」
「質問の意味が分かりかねますな」
「だって、どう見たって外国人なのに、日本語はぺらぺらだし、自分を神様だというし、深夜の映画館で一人こっそり映画見ているし、一体何なのかなって」
「私には嘘の吐きようがありませんよ。ここの神様で、ここに住んでいるのです」
「神様って言われても、普通自分から言いますか?」
「普通の人なら言わないでしょうな」
「ま、そうですけど」
予想しなかった回答に少し笑ってしまった。
「では、私が今度は質問しても良いかね?」
「ええ、どうぞ、カミサマ」
「映画は楽しかったかね?」
老人がそういうと、スクリーンが真っ暗になった。スタッフロールが終わったのだ。
非常灯の薄明かりに照らされると、やはり老人はどこにもいない。
最初のコメントを投稿しよう!