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「お世話になっております。大変申し訳ございません……はい。はい」
小気味いい革靴の足音と凛とした声。
「はい……その件でしたら、先日」
土屋だ。
「もうひとり、同期いたっけな」
土屋がハキハキと電話越しに受け答えをしながら、急ぎ足でどこかに向かうところだった。
「けど、あそこは次元違う感じだよなぁ」
「……」
颯爽と歩いていくその後ろ姿はたしかに、次元が違う気が……してた。
「そう?」
「須田?」
「んーん。なんでもない」
けど、あいつ、あんな飴ちゃん持ってるんだぜ? って、独り言を胸のうちでだけ呟いた。福田は何でも話せる同期なのに、なんでだろう。なぜか、このことはまだ内緒のままにしておきたいと思ったんだ。
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