1 オカシモ

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 務めて、もう四年になる。  憧れのゲーム開発がしたくて、そういうのが勉強できる専門行って、新卒で今の会社に入った。同期はさっきドピンクジュースをくれた奴も合わせて十人。けど、四年後の今、残っているのは三人だけ。同業種の別会社に移った奴もいるし、この業界から去った奴もいる。こういうサブカル業界って移り変わりの激しいほうだから。その中でもうちの会社は大きいほうなんじゃないかな。ビジネス部門も多岐にわたるし、従業員も直接雇用だけで百人以上いると思う。  そんな企業のテスト課、つまり、ゲームの動作確認を主な業務としている部署で、のんびり和気あいあいとやっていたわけだけど。明日からは――。 「あ、あのぉ」  明日からはここが、俺の職場になる。 「……何?」  テスト課の面々にたくさん労われるほどの、そして、今生の別れのように手を振られる新職場。なぜ、そんなに悲痛な顔をされるのかというと。どうして、たかが移動ごときで、俺が「貧乏くじ」だけは引き当てらえるんだと確信したかというと。 「明日からこちらに移動することになりました。須田祐真(ゆうま)です。どうか、宜しくお願いいたします」 「……」  ここが、地獄のギョウカン、と呼ばれる、業務管理課だからだ。 「あ、あのぉ……」  無言が……怖い。そう思って、顔をそっと上げたら、もっと怖い顔が俺を睨んでいた。 「まったく。新ゲーム対応のためって、今までだって私が、ひとりで、対応してたのになんで急に、こんな……」  無言も怖いけど、めっちゃ聞こえてくる小言も怖い。 「……貴方さ」 「は、はい!」  地獄のギョウカン。職務内容は商品であるゲームアプリ、それと、他にも色々取り扱っているコンテンツがあるんだけど、その全業務が滞りなく進んでいるかどうかを確認し、管理する仕事、である。  働いてるのはたった一人。  けど、この仕事をひとりでやるってさ、けっこう大変だと思うんだけど。 「今、どうか! 宜しくお願いしますって……言ったわよね?」 「は……い」 「言ったわよね」  なぜ、全業務の管理なんて大変なことをひとりが担っているかというと。 「い、言いました」 「言ったのね」
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