1 オカシモ

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 この人、持田ふう子。名前は可愛いんだけど、顔は……お世辞ですら可愛いと言えない、お、お、鬼婆みたいな、顎もしゃくれてるし、般若みたいな顔をした、持田ふう子。  通称、もったいブリ子が。 「ねぇ! どうか、っていうのは強い依頼、頼みごとの時に使うの。貴方、今私に、仕事頼んだ? 頼んでないわよね? 挨拶しに来たのよね? それなら、どうぞ、でしょ? 丁寧な挨拶に使うのなら、どうぞ! 宜しくお願いします、でしょっ?」  もったいブリ子が強烈すぎて、誰も長続きしなかったからだ。 「まぁ……いいわ。明日からね。わかりました」 「よ、宜しくお願いします」 「はい」  そして、なんだか睨まれた。すげぇ、元から般若顔なのに睨んだら、もうそれ本物の鬼じゃん。 「し、失礼しました」  しかも、挨拶しただけなのに、怒られた。 「……はぁ」  部屋を出た途端安堵の溜め息が自然と零れた。  いやぁ、ここまで地獄だとは思わなかった。すげぇ睨まれたし、すげぇ威圧だったし、すげぇ……顎しゃくれてたな。 「……」  あの人と、ふたりで仕事かぁ。
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