3161人が本棚に入れています
本棚に追加
この人、持田ふう子。名前は可愛いんだけど、顔は……お世辞ですら可愛いと言えない、お、お、鬼婆みたいな、顎もしゃくれてるし、般若みたいな顔をした、持田ふう子。
通称、もったいブリ子が。
「ねぇ! どうか、っていうのは強い依頼、頼みごとの時に使うの。貴方、今私に、仕事頼んだ? 頼んでないわよね? 挨拶しに来たのよね? それなら、どうぞ、でしょ? 丁寧な挨拶に使うのなら、どうぞ! 宜しくお願いします、でしょっ?」
もったいブリ子が強烈すぎて、誰も長続きしなかったからだ。
「まぁ……いいわ。明日からね。わかりました」
「よ、宜しくお願いします」
「はい」
そして、なんだか睨まれた。すげぇ、元から般若顔なのに睨んだら、もうそれ本物の鬼じゃん。
「し、失礼しました」
しかも、挨拶しただけなのに、怒られた。
「……はぁ」
部屋を出た途端安堵の溜め息が自然と零れた。
いやぁ、ここまで地獄だとは思わなかった。すげぇ睨まれたし、すげぇ威圧だったし、すげぇ……顎しゃくれてたな。
「……」
あの人と、ふたりで仕事かぁ。
最初のコメントを投稿しよう!