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男の櫛が、つ、と、髪のひとすじをつった。
「いた……、」
思わずユウイが呟くと、男はただちに三つ指をついて、頭を垂らした。
「申し訳ございません」
こんなことくらいで大仰な、と、ユウイは愕きながら、「うん」と、簡単に返事をして済ませようとすると、
「私を祟りなさいませ」
と、男が云ったので、さらに仰天をした。
自分は全体いつ祟り方なんぞ識ったのか、どう頭を捻っても、皆目憶い出せないので、弱って、正直に白状をする。
「どうやって祟れば良いのか判らない」
いくら新米と云えども間の抜けた神だと、男は呆れただろうか。こわごわと表情を窺い見れば、やはり男は怖い顔をしている。
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