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「こら。がっつき過ぎ」
やがて、奏風が笑いながら、手を突っ張らせてキスを止める。離れる互いの舌の間に、透明な唾液が糸を引いた。
「ふふ。兄さんだって、顔、赤くなってる」
奏風は照れたように頬に手を当てた。
「おまえの熱が移ったんだよ。それより、いつになったら部屋に入れてくれるんだい?」
呆れ顔の奏風に、湊音は小さく舌を出して笑うと
「服、ここで脱いで。風呂の湯溜めておいたから」
奏風はしょうがないなぁとでも言うように首を竦め、濡れて張り付いたシャツのボタンに手をかけた。
「髪、まだ濡れてる。タオル貸して」
湊音がそう言って、奏風がおざなりに拭いていたタオルを取り上げて、ごしごしと髪を拭く。
「おまえ、相変わらず世話焼きだな。お母さんかよ」
文句を言いながらも、奏風は気持ち良さそうに目を細めている。丁寧に髪を拭き終えると湊音は満足そうに、奏風の頭のてっぺんにキスを落として
「カレー。食べる?」
「うん」
座椅子に腰をおろし、すっかり寛いだ様子の奏風に、湊音は微笑んで、台所に向かった。
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