1日目

2/12
42人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「こら。がっつき過ぎ」 やがて、奏風が笑いながら、手を突っ張らせてキスを止める。離れる互いの舌の間に、透明な唾液が糸を引いた。 「ふふ。兄さんだって、顔、赤くなってる」 奏風は照れたように頬に手を当てた。 「おまえの熱が移ったんだよ。それより、いつになったら部屋に入れてくれるんだい?」 呆れ顔の奏風に、湊音は小さく舌を出して笑うと 「服、ここで脱いで。風呂の湯溜めておいたから」 奏風はしょうがないなぁとでも言うように首を竦め、濡れて張り付いたシャツのボタンに手をかけた。 「髪、まだ濡れてる。タオル貸して」 湊音がそう言って、奏風がおざなりに拭いていたタオルを取り上げて、ごしごしと髪を拭く。 「おまえ、相変わらず世話焼きだな。お母さんかよ」 文句を言いながらも、奏風は気持ち良さそうに目を細めている。丁寧に髪を拭き終えると湊音は満足そうに、奏風の頭のてっぺんにキスを落として 「カレー。食べる?」 「うん」 座椅子に腰をおろし、すっかり寛いだ様子の奏風に、湊音は微笑んで、台所に向かった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!