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汗だくになった身体に、扇風機の風が心地よい。
湊音はむくっと起き上がると、既にすよすよと寝息をたて始めた奏風の、白い顔を見つめた。
奏風は、あの日の約束を守って、必ず訪ねてきてくれる。
父母の干渉から逃れ、亡き祖父が遺してくれた工房と古い家を、独りで守り続ける湊音の元へ。
一年に1度だけの短い逢瀬。
このひとときの為だけに、湊音はそれ以外の日々を、孤独に耐えて生きているのだ。
「奏風……愛してる……」
ため息のような密やかな呟きに、風を感じた風鈴がまた、チリン、チリン……と答えた。
「雨……止んでたんだな」
「うん。あれ、見て」
まだ寝ぼけ眼の奏風をぐいっと抱き起こして、湊音は窓の方を指差した。
「はは。てるてる坊主だ。懐かしいなぁ」
「お祭り、行けるよ。花火もあがるかも」
湊音は奏風の耳に囁きながら、寝間着の袷の隙間からするっと手を差し入れた。
「っ。湊音、だめ、だ」
びくんっとなったのは、湊音の指が胸の尖りに触れたからだ。
「さっき、起きてすぐ、したばっかり、だろ」
「うん。でも……またしたい。兄さんが……全然足りないんだ」
さわさわと尖りを優しく撫でると、奏風の乳首が、またぷっくりとふくれていく。
弄られ続けて、真っ赤に熟れた尖り。
そこから沸き起こる甘い疼きに、奏風は小さく喘いで、身を震わせている。
「仕方、ないなぁ。いいよ……好きなだけ、抱けよ」
奏風は、甘やかな吐息と共に囁いて、湊音の頭をぐいっとかき寄せた。
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