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「あんたにだけは、何でも話せるんだよね!」
そう言って笑うお前。
ずっと昔から変わらない笑顔。
幼なじみで親も親友どうし。
小学校、中学校、クラスもずっと一緒。
休みの日は、二人とも親に連れられて、よくランチとか公園とか行ったな。
たまに親父たちも一緒でバーベキューとか行ったりさ。
高校進学で、お前は女子校に行くことになって、俺らはそこで初めて離ればなれになって。
そうなってようやく自分の気持ちに気づいた。
俺はどうすれば良かったのかな。
何をしてあげれば良かったのかな。
「好きな人ができたんだ」
相談があるって真剣な顔して、そんな話をしてきたお前の言葉に、俺はなんて言うべきだったんだろう。
「そうか」
つまらない返事しちまった。
気持ちを言葉にできなかった。
どうしていいかわからなくて。
「ふられちゃった……」
くしゃくしゃの泣き顔をみせるお前に、なんて言えば良かったのかな。
「そうか」
そんな言葉しか吐き出せない俺のことを、お前は一番の友だちだと思ってくれてるんだよな。
それだって嬉しいんだけどさ。
友だちって思われているだけか……なんて思っちまうんだよな。
もし、俺の気持ちを伝えて「そうか」なんて聞き流されたら、俺……心が壊れちまうかもしれない。
男のくせに弱いよな。情けないよな。
でも、それだけ大事に想ってるんだ、お前のこと。
だから、いつだって俺は「そうか」としか言えないんだ。
でも、いつか。必ず言うからさ。きっと。
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