勇者を譲りました。

22/22
3459人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
 僕は空のお弁当を、体を洗う用の樽の水で綺麗に洗い、持っていたハンカチで拭いて、その中にスマホと財布の中身を入れて蓋をする。  そして、お弁当袋に戻しリュックの一番底に僕は丁寧に入れた。  これは大切な思い出。僕の宝です。    ブレザーから体操着に着替えて、持ち物をリュックに全て戻した僕はベットの上に寝転ぶ。  さて、どうしようかな。  取り敢えずの目的は、『港町ファルザン』に行く事にしたけど、急いでいく必要も無いわけで。  『ファルザン』までの行程は、馬車で3つの町を越えるルート。  ここ、『王都タライアス』から大農園がある『モーザン』までが6時間。  次の、大河の近くにある『ソラン』までが9時間。  そこから、山頂の『コルトン』までが8時間。  最後の、港町の『ファルザン』までが5時間。  馬車の移動は昼間だけなので、暗くなる前の町で宿泊するのが決まりになっている。  急を要する時は、馬代えと傭兵を雇って野宿することもあるらしい。  『モーザン』行きの運行時間は9時だと教えて貰っていたので、朝早めに、馬車屋に行ってみようかな。この時期なら予約は要らないって言ってたから、大丈夫だと思うけど、余裕を持って行動しないと不安なんだよね。  よし!寝よう。  この世界にも、時計はある。だけど目覚まし機能がないのです。  寝過ごさないように、早く寝よう。そして朝7時くらいには起きよう。    僕は、ランプの火を小さくしようとベットから立ち上がる。  あっ・・・。  僕は異世界の治安の基準が判らない事に気付く。  これ、夜中に誰か忍び込んで来ないかな・・・  僕は木の扉の窓をしっかりと閉め、鍵を掛ける。そして、リュックの肩掛けのところを使って開いたらリュックが落ちる仕掛けをする。  入り口の扉も鍵を掛け、内開きだったのでベットをずらして、開かないようにした。  よし、これなら大丈夫だろう。  僕は時計を確認する。  時刻はまだ20時だけど、明日に備えて寝よう。  
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!