魔王の娘です。

2/22
3459人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
「ドン!」  僕はベットから伝わる振動で、眠りが浅くなっていた。 「あれ?鍵外したのに、なんで?」  外から声が聞こえてくる?  僕はまだ、半分寝ている状態のままだった。 「ギィギィッ」  入り口の木の扉とベットの枠が擦り合う音がしている。 「ちょっ、なんで開かないのよ。」  微かに開いた扉の向こうから、女の子の声が確かに聞こえてきた。  さすがに僕は目を覚ます。そして静かに、侵入を試みる誰かの様子を伺う。 「あっ、ベットね。なんて用心深い勇者なのよ。これじゃ、入れないじゃない。」  ん?勇者って言ったよね。  傭兵組合で知ったとかなら、勇者じゃないと知ってるはずだし・・・  僕は、時計を確認する。  深夜の1時を過ぎたところだった。  ゆっくりと起き上がり、ベットに上に乗ったまま、扉に近づき、隙間から外を覗いてみる。  そこには、フード付の黒のコートを着ている、女の子が立っていた。 「あ!居た。この卑怯者。ここを開けなさいよ!」  僕の視線に気付いた女の子が、扉をドンドンと叩く。 「えっと、夜遅いですし、回りのお客さんにも迷惑なので、明日にしてくれませんか?」  僕は、丁重にお断りの台詞を伝える。 「ふっざぁけぇないでよぉおお。」  扉を押しているのだろうか?踏ん張っている声が聞こえた。 「なんで、魔王の娘が勇者の言うことを聞かないとならないのよ!いいから、ここをあけろぉおお。」  魔王の娘?  おいおい、そんな自己紹介をそこでしていいのかよっ!?  って心のツッコミが入る。  そして、勇者を譲った僕には、たぶん関係ない話になるだろうと思い、 「魔王の娘さんでしたか、それは失礼しました。ですが、僕は勇者じゃないんです。勇者は別の人が成りましたから。」 「そんな話がぁああ!しんじぃい、られるかぁああああ。」
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!