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「ドン!」
僕はベットから伝わる振動で、眠りが浅くなっていた。
「あれ?鍵外したのに、なんで?」
外から声が聞こえてくる?
僕はまだ、半分寝ている状態のままだった。
「ギィギィッ」
入り口の木の扉とベットの枠が擦り合う音がしている。
「ちょっ、なんで開かないのよ。」
微かに開いた扉の向こうから、女の子の声が確かに聞こえてきた。
さすがに僕は目を覚ます。そして静かに、侵入を試みる誰かの様子を伺う。
「あっ、ベットね。なんて用心深い勇者なのよ。これじゃ、入れないじゃない。」
ん?勇者って言ったよね。
傭兵組合で知ったとかなら、勇者じゃないと知ってるはずだし・・・
僕は、時計を確認する。
深夜の1時を過ぎたところだった。
ゆっくりと起き上がり、ベットに上に乗ったまま、扉に近づき、隙間から外を覗いてみる。
そこには、フード付の黒のコートを着ている、女の子が立っていた。
「あ!居た。この卑怯者。ここを開けなさいよ!」
僕の視線に気付いた女の子が、扉をドンドンと叩く。
「えっと、夜遅いですし、回りのお客さんにも迷惑なので、明日にしてくれませんか?」
僕は、丁重にお断りの台詞を伝える。
「ふっざぁけぇないでよぉおお。」
扉を押しているのだろうか?踏ん張っている声が聞こえた。
「なんで、魔王の娘が勇者の言うことを聞かないとならないのよ!いいから、ここをあけろぉおお。」
魔王の娘?
おいおい、そんな自己紹介をそこでしていいのかよっ!?
って心のツッコミが入る。
そして、勇者を譲った僕には、たぶん関係ない話になるだろうと思い、
「魔王の娘さんでしたか、それは失礼しました。ですが、僕は勇者じゃないんです。勇者は別の人が成りましたから。」
「そんな話がぁああ!しんじぃい、られるかぁああああ。」
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