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「それで、王様。勇者の薬って、いつ貰えるんだ?」
部屋の空気を動かしたのは、勇者に選ばれたお兄さんだった。
よし、ナイスアシスト。
僕は王様の視線が彼に移ったのを確認すると、その場から下がるように立ち上がる。
うん、これなら自然だ。ありがとう、お兄さん。
僕が立ち上がり、一歩さがって神官の彼女の隣に立つのと同時に、王様が懐から小瓶を出していた。
「これだ。」
王様は、椅子から立ち上がり、お兄さんに受け取るように小瓶を差し出す。
「飲めば、常人を超えた力が出るはずだ。」
お兄さんは、躊躇せずに小瓶の蓋を開けて一気に飲んだ。
「うっ・・・なんだ、あっつい!うっ”んだこれはぁあああ!!」
もうね、これもアニメでよく見るやつ。
能力覚醒系のシーンでよく見るやつ。
息苦しそうにしてからの、仁王立ちでオーラ出すやつ。
うん。誰でも判る。
勇者の能力授かってます。
僕は、「おおー。」っとちょっと歓心して眺めていた。
彼にも勇者資質があって良かった、良かった。
ここで、なんの反応が無かったらって、ちょっと不安だったんだよね。
「勇者資質、結構あるんじゃないですか?」
僕は小声で神官の彼女に聞く。
「はい。今まで以上の器だと思われます。」
「今まで」と言う単語に引っかかるが、それはスルーして、今はお兄さんの今後の活躍を応援しよう。
他人事。ぶっちゃけ、お兄さんの今後の事なんて、芸能人のニュースネタと同じ、どうでもいい事です。
僕は、今後の人生プランを再構築する為の情報収集をどうやって進めるか。それを考え始めていた。
そしてタイミング良く、秘書らしい女性が部屋に戻ってきた。
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