閑話

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 魔王に倒された宗司は、次の日から真面目に訓練を受けていた。  剣術を教えるのは、初代勇者とパーティーを組んだ経歴を持つ、騎士団長のベイル・ホグトス。  魔法を教えるのは、ファルザ公国出身で、今回で3年連続になる勇者パーティーメンバーのアリネ・ティーラス。  二人の指導の下、それぞれの基礎を学んでいる。  勇者になる薬を飲んだ宗司は、桁違いな身体能力と、空を飛ぶ能力。  そして光属性の魔法を纏って魔法耐性強化までを既に手に入れているが、使いこなせていないことを、宗司は身をもって理解したのだった。 「剣の扱いは、だいぶ形になってきましたな。勇者様。」 「まあ、まだまだなのは判っているが、俺も最初の時から見れば上達しているのは実感している。」  身体能力を抑えた状態での特訓では、最初はベイルにまったく敵わなかった宗司だったが、10日ほどの訓練で、ベイルの剣を受け止めるまでに成長していた。 「では、また明日。」 「ああ、よろしく頼む。」  宗司はベイルを見送った後、訓練場の端に居るラニューラの元に向かう。 「お疲れ様でした。」  ラニューラは水と氷の入った水筒を手渡す。 「どうだった。様になってきただろ。」 「はい。だと思います。」  宗司はラニューラの言葉に満足し、水筒の水をゴクゴクと音を出しながら飲む。 「魔王を倒したら、召喚士としての仕事は終わるんだよな。」 「はい。国王様からは、そのように伺っています。」 「俺と付き合ってくれる話は変わらないのか?」 「そうですね。魔王を倒す事が前提で、それまでの勇者様の人柄を見させて貰う事で変わりません。」  ラニューラは淡々と答える。 「わかった。俺の努力をみせてやる。」 「どうして、私なのですか? 魔王を倒した時、貴方は名誉と財産を得て結婚を申し込む女性も沢山現れます。」  何故、宗司はラニューラに拘るのか。  それは、冷たい態度をしているが、人として気にかけている事が判っていたからだった。 「今の俺には、お前以外…いや、俺の一目惚れだ。それが理由だ。」  宗司が言い掛けた言葉は、「俺を物のような目で見る。」だった。  だが、確証のない事を口に出すのは男らしくないと思った宗治は、直前で言葉を変えた。
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