親友へ送る言葉

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翌日の朝 先生が教壇に立ち、連絡事項を話している。 純也は前の席を見た。席には誰も座っていない。 「知っているやつもいると思うが、草壁が親の仕事の都合で海外へ転校した」 「えー、急すぎない?」 「急な話でもあったが、本人からの要望で黙っていたんだ。ごめんな」 クラスで騒然としたが、次の瞬間には違う話題に変わっていた。純也は衝撃的すぎて何も考えられなかった。 「お別れしたかったね」 あとで香奈に聞いたら、知っていたが口留めされていたらしい。スマホに連絡しても既読にすらならない。 ふと昨日雪が寝ていた場所を見て、目を見開いた。 自分の机の角に小さく何かが書かれていた。 そこには「私は出会ったときから中村純也が好きでした」と書かれた文字。 純也は、その文字のところを強く消しゴムで何回もこすった。文字が消えても何回も何回もこすった。純也は苦しい表情を浮かべ、机の文字を強くこすって消した。 一目惚れを笑っていたくせに自分だってそうじゃないか。 香奈はユキの気持ちを知らなかったのだろう。 なんで、何も言わず行ってしまったんだろう。なんで、 俺におまえの告白を受けとめさせてくれなかったんだよ。 純也は自分の心の中で消化することできない気持ちを抱え、ユキの残したシャーペンを握りしめた。
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