第二章

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第二章

 小惑星ほどもある巨大な物体が地球に接近しつつある。しかも加速している事からして、明らかに隕石とは異なる。その事実が明らかになるや、防衛隊基地は直ちに対策本部を立ち上げた。だが、未だ自力の技術水準では、火星軌道に有人宇宙船を送り込むのが精一杯と言う地球人類にできる事は、せいぜい無人探査機を送り込むくらいしか、出来る事は無かった。  それでも、じりじりするような長い時を経て得られた画像には、防衛隊の上層部を顔色無からしめるには充分なインパクトがあった。そこに写っていたのは、推定全長が200メートルはあろうかと言う、巨大な宇宙船であった。しかも、各種のデータを突き合わせて得られた結果は、それが無人でオペレーションされている惑星破壊兵器であろう事を示唆していた。  直ちに無人探査機を弾道ミサイルに改造した迎撃措置が取られたが、いずれの攻撃機も、起爆すらせずに消息を断つ有様で、有人迎撃可能な火星軌道に到達する以前に、既に防衛軍上層部では敗戦の雰囲気すら漂い始めていた。今のままの速度であると仮定すると、火星軌道まで一週間。地球到達までは十日余りと推測された。     
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