海と彼と私

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========== 絶対あれはそうだ。 あの時の、小料理屋の彼だ。 なんで入院してるんだろ? ケガはしてないように見えたけど…。 いやいや、見た目だけじゃ分かんないけど。 でも。 また、会えるといいな。 今度は…… あの綺麗な横顔を、もっと近くで見たい…。 と、ボンヤリと思ったところで、赤面する。 私、一体何考えてんの!? 近くで見たいとか! 何? 「い、いやぁ~。ないわ。ホントにないし」 ときめいたとか、キュン★としたとか、ドキン!とか、グッとキタとかそんなんじゃないし。はいはいっ! ないないっ! 気持ちをごまかすように、コーラを一気に飲む。 が、炭酸の強い刺激ですぐにむせてしまった。 慌ててティッシュを1枚掴み、口の周りを拭う。 ……ホント恥ずかしい、何よこれ。 でも、そう、アレよ、この気持ちは。 そう、芸術的な興味と言うか。 そう! あの横顔に対する、芸術的な興味なのよ! とりあえず自分で納得して、残りのコーラを落ち着いて飲んだ。 ………。 でも。 名前くらい、知りたいな……。 そう思ったところで、コーラをオーバーテーブルにドンッと置く。 だーかーら!! なんで私はそんなこと考えてるのよ!! ベッドに倒れ込むと、頭を抱え上半身だけゴロゴロ転がる。 何だかわからない感情と恥ずかしさに、ひとしきり悶えた。
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