友人は彼女を見破った

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“――また! 話しかけてもいいですかっ!?” なんて大胆なこと言っちゃったんだろう、私。 病室に戻った私はベッドに座り、オレンジジュースを口に入れた。 柚木咲夜…クン? サン? とりあえず、歳は近いよね? 柚木くんって呼んで、よかった……よね? さっきのこと…。 思い出すと、やっぱり恥ずかしい。 別に男友達くらい、私にもいる。 けど、自分から男子に話しかけるなんてこと、今まであまりしなかったから。 まだ心臓がドキドキしてる。 でも、私から話しかけない限り、柚木くんとは話せなかったに違いない。 話しかけて正解だったよね、と自分に言い聞かせた。 それに……。 病室で独りになると、現実がジクジクと胸を刺す。 右脚を見ると落ち着かない。 脚のことなんか、忘れたいのに。 新体操をしてた頃の自分を思い出すと、やっぱり涙が出てくる。 病室では考える時間がたっぷりあるから、余計なことまで考えてしまう。 だから、柚木くんと話せてよかった。 コンコン。 オレンジジュースを再び飲むと、ドアが小さく鳴った。 「はい」 返事をすると少しだけドアが開いた。そこから見えたのは、病室を覗く顔半分。 その顔と目が合うなり、ドアが大きく開かれた。
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