友人は彼女を見破った

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「えっこれ、クラスのみんなが? すっごい嬉しいんだけど!」 「他のクラスの男子までなんか書いてたよ? 頼んでもないのに、ほんと意味わかんないよねー」 「でも、嬉しいよ。ここに飾るね」 受け取ってテレビの横に飾ると、帆奈が心配そうに私を見ていることに気がついた。 「……それにしても、しゅう、いつ退院できるの?」 「あー…多分だけど、もう少し先」 私が苦笑いして2人を交互に見ると、由香里は眉をひそめ、腕組みして言う。 「そっかぁ。寂しいわぁ。しゅうもその間、退屈だねぇ」 「うん……まぁ。うん、……そうだね」 歯切れの悪い私の返事に、帆奈がふっと顔を上げた。 「何? なんかあるの?」 「えっ!?」 「今、返事に()があったっしょ? ()が!」 「そ、うだったかな?」 「いや、あった。なんか退屈しのぎがあるの?」 私の脳裏に、一瞬だけ柚木くんが浮かぶ。 「ない」 「いや、あるね」 こういう時、帆奈のカンは鋭い。 「いや……ホントにないけど?」 「いーや、あるわ。ほら、私達に言ってみ?」 し、視線が鋭い……。 2人の視線に耐え切れず、しぶしぶ柚木くんのことを話す。 「やっぱ、あったじゃないのよ」 「そこまでのことじゃ…」 「ねぇねぇ、その柚木くんて人、イケメン?」 由香里の無邪気な質問に、ドキンとする。 「うん…まぁ、そうだな。イケメンの部類だと言えば、そうだと思うけど…」 私が下を向いてボソボソと答えるのを見てか、帆奈がニヤリと笑った。 「恋?」 「違う!」 顔を勢いよく顔を上げ、顔も手のひらもブンブン振って否定した。 「違うの! そうじゃなくて!」 私を見つめる2人から目をそらし、言い訳する。 「好きとかじゃないの……なんて言うかさ。絵になるのよ。……サラサラの黒髪とか、切れ長の目とか。まつげも長くて、横顔がすっごい綺麗なん…」 だよね、と言いかけて。 私はうっかりニコニコと、2人に視線を戻していた。 帆奈と由香里は、ニンマリ笑って私を見ている。
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