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次の日。
時間は14時。
私はカフェスペースに向かった。
私も少し勉強をしようと思ったのと……。
昨日も柚木くんは、これくらいの時間にいたから。
授業のノートと筆記用具を膝の上に乗せ、車いすを進める。
まっすぐな廊下を進み、少しドキドキしながらカフェスペースを覗くと……。
いた。
やっぱり柚木くんは、いつもの場所で勉強していた。
「ゆ…柚木、くん」
声をかけると、彼は顔を上げた。
私を見るなり小さく頭を下げ、すぐにノートに視線を戻してしまう。
私は車いすを長テーブルの向かい側に移動させ、再び口を開く。
「ここ、座ってもいいですか?」
私の問いに、柚木くんはまた顔を上げた。
そして、小さくため息をつく。
コトリとシャーペンを置くと、柚木くんは立ち上がった。
…もしかして、邪魔だった? 帰っちゃうのかな?
私の心臓は、不安でドキドキと音を立てた。
しかし私の心配をよそに、柚木くんは長テーブルのいすを端に寄せている。
そして私の車いすを押し、空いたスペースに入れてくれた。
「え、あ、ありがとう…ゴザイマス」
「はぁ、いえ」
柚木くんはそっけない返事をして、自分の椅子に座った。
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