目覚めと絶望とコーラ

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「はい」 目の前に、100円玉。 顔を上げると、黒髪の男の子が私に差し出していた。 前髪の間から覗く、暗い静かな瞳。 何もかも飲み込んでしまいそうだ。 「あ、ありがとう」 彼は私にお金を渡すとニコリともせずその場を去り、長テーブルの端に座った。 教科書らしきものが見える。 勉強をしているようだ。 多分、昨日の晩、窓から見た黒髪の男子だ。 だけど――それ以前に、どこかで見たことあるような気がする。 あの目と、儚げな雰囲気……。 私はコーラを買うと、もう一度だけチラリと彼を見て自分の病室に戻った。
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