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タオちゃん×ハルくん【フレンドシップ】
家から30メートル離れた桃色の屋根の家。
小さい頃、その家に引っ越してきた綿谷家の長男、溌春くんは、同い年。
静岡県というのは、日本一高い山を県境に持っている。
それが県の象徴ではあるが、山と海に囲まれた自然豊かなそこは、食べ物も新鮮なものが多い。
最近では交通の便がいいせいか、郊外化における東京からの移住者が多いおかげで、新築の家がめっきり増えたように思える。
これは、その大量の移住者の中にいる綿谷家の長男と、元来そこに住む黄倉家の末っ子のお話である。
最近家から30メートル離れた場所に建てられた桃色の屋根の家。
そこに引っ越してきた綿谷家の長男は、幾度も咳をこぼしながら、自分の母親の足にぺったりと貼りつき、もじもじと身じろいでいた。
「昨日引っ越してきた綿谷と申します。つまらないものですが…」
あたしの母親よりも若い見目の女性は、ペコリと頭を下げると、土産袋を渡す。
受け取った母親は、リビングから覗いていたあたしを呼んだ。
それまでおやつを食べていたあたしは、クッキーが入っていた硝子の瓶を持ったまま、玄関に向かった。
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