プロローグ ~インタビュー~

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上を見ればゴージャスなシャンデリア。下を見渡せば高級なペルシャ絨毯。辺りを見渡せば明らかに高級な絵画や壺。数え切れない程、変わったデザインの置物がたくさん飾ってある。一つくらいなら盗んでもバレないのではないか、と記者である雑誌のインタビュアーの男は思ってしまう。ついついポケットに入りそうな置物を、見られていない隙に自分のポケットに入れようとするのを必死に我慢する。チラっとインタビューを受けている男を見る。こちらの頭の中の下衆い考えはさすがにわからないだろうが、少し不安になる。ああ、本当に羨ましい。インタビュアーを受けている男の名は岡(おか)喜助(きすけ)と言い、年齢は30歳で自分より10歳以上も年が離れているのだが、貯金の残高は0が何個離れているだろうか?見当すらつなかい。心から羨ましかった。 雑誌の特別特集の成功者のインタビューも最後の質問になる。 「これだけの成功を収めた秘訣はなんなんですか?」 「それは、あの額の絵ですよ」そう言うと、岡喜助は部屋の中心に、ひと際大きく豪華な額に飾られている絵を指差した。インタビュアーの男は絵を見て考えこむ。 「これは・・・えーっと・・・一体何ですか?」茶色い石のようなごつごつとした物体の絵がそこにはあった。部屋のど真ん中に飾ってある位の絵なのだから、きっと価値のある絵なのだろう。描かれているものも、ダイヤモンドや宝石、またはどこかの国の名産品に違いない。ただ、学がないので何かわからないので正直に聞いてみた。 「あれは何の絵ですか?」 よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりの満面の笑みを浮かべて答えてくれた。 「僕の宝物。おかきですよ」
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