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夜も更けてくる時間に近づくにつれて、雨が止むどころか雷が鳴り始めて、ついには稲光がするようになった。最初に部屋に戻ったのは悠一だ。彼は蒲団を掛けず、ベッドの上に仰向けになって音楽のことなどを考えたりしていた。
リビングでは、今日話した話題にも出てきた葡萄酒を、彩枝が飲みたいと言ったので、ひとりで飲んでもつまらないだろうと、慧介と雪愛もそれに付き合った。グラスに注がれた、いい色と香りの洒落た葡萄酒を三人で楽しんだ。雪愛は軽くだけ飲んだ後、先に部屋へと戻っていった。そしてベッドに横たわるものの、どうも寝付けず、窓に流れてゆく雨を見ていた。
雪愛が部屋へ戻った後も、慧介と彩枝は葡萄酒を飲んだ。テレビや音楽プレイヤアはつけずに、明かりだけをつけているので、リビングは静かだ。彩枝は葡萄酒を飲みながら、お気に入りの小説を読んでいる。慧介は葡萄酒を飲む以外には、何をするわけでもなく、ただおとなしくしている。時々、彩枝が慧介に話しかけては、他愛のないおしゃべりをした。それぞれ寛ぐ家の外には、夜を装飾するように雨が降り注いでいる。雷の音も未だ鳴り続けて、やはり時々稲光がしていた。
やがて葡萄酒を存分に楽しんだ彩枝と慧介も就寝することにした。慧介は彩枝がブランケットを掛けてくれたので、そのままリビングのソファで横になり眠りに就いた。彩枝は就寝の準備をすると、先に部屋に戻りすでに寝ているだろう雪愛を気遣い、彼女もリビングのソファで横になり、ブランケットを掛けて、そのまま眠りに就いた。その頃には雷は収まっていたものの、四人みんなが眠りに就いた後も、雨はひたすら降り続けた。
空が明るくなってきても、まだ雨は降り続けていた。一番先に起床したのは彩枝で、朝風呂に入って、それから朝御飯の支度をしている。次に雪愛が起床して、朝風呂に入った。雪愛の風呂上がりと同じくらいに、悠一が起床した。そうして雪愛と悠一がLDKの部屋へと入ってくると、その部屋で就寝していた慧介が最後に起床した。
リビングにあるテレビがついていて、朝の情報番組がかかっている。パステルカラアを基調とした、明るい感じのスタジオとさわやかな雰囲気の、朝の情報番組だ。少し長めの綺麗な茶髪の、モデルさんらしくスタイルの良くて背丈も高めの、お天気お姉さんが今日も雨が降り続くという情報を伝えている。
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