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「今日も雨か・・・。」
慧介が溜め息混じりに言う。
「まだ暫くは雨が続くようだね。」
悠一が言う。
「最近雨ばかりでほんと、厭になっちゃうよ。」
慧介は寝起きで機嫌が良くないのもあって、拗ねた子どものように怪訝そうに言う。
「でも、雨の日だからこその発見もあるかもしれないよ。」
「雨の日だからこその発見ね・・・。」
そんな慧介の様子を見て悠一が言う。だが慧介は半信半疑な様子で、そう言葉を返す。
「じゃあ、彩枝と雪愛を見てごらんよ。」
悠一は慧介にそう言う。慧介は言われた通りに彩枝と雪愛を見てみる。髪だ。彩枝と雪愛の髪がいつもとは違う。彩枝は髪型はいつもと同じものの、カチュウシャをつけて装飾している。雪愛はいつもは降ろしている長い髪を、三つ編みの二本のおさげにしている。
「二人とも、髪がいつもと違うね。」
「うん。ちょっと雰囲気変えてみたの。」
「雨の日は髪がうまくまとまらないから。」
慧介が言うと、彩枝と雪愛は笑顔をきらきらと輝かせながら言う。そして続けて、
「どう? 今日の私たち。」
「いい感じかな?」
と、慧介に訊ねた。
「う、うん。かわいくて素敵だよ。」
慧介は二人にそう答えた。彼の好評を聞いた彩枝と雪愛はすごく嬉しそうにしている。
「ね。雨の日だからこその発見もあるだろ。」
悠一が慧介に言う。
「まあ、確かにな・・・。」
慧介はまだ完全には納得していない様子で言葉を返した。
「どうも雨の日というのは難しいね。」
悠一は独り言つ。
雨はやはり降り続ける。朝御飯を食べ終わると、「キウメガ」のメンバアは、家の中でそれぞれの休日を過ごしていた。慧介は、悠一が洗濯物を部屋の中に干している姿を見て、彼を手伝った。
「確かに、雨は厭だね。洗濯物は外で干したいよ。」
「いつになったら、晴れるものか・・・。」
悠一と慧介が言う。二人は洗濯物を干し終えた後、LDKの部屋に行き、コオヒイを飲むことにした。彩枝と雪愛もリビングにいたので、コオヒイの誘いをしてみると、一緒に飲むという返事がくる。「キウメガ」のメンバアはみんなコオヒイが好きだ。メンバアお気に入りのコオヒイ豆をコオヒイミルで挽く。この洒落たコオヒイミルは慧介が買ってきたものだ。コオヒイ豆を挽く様子が面白そうだと思った彼が買ってきたものだが、今ではみんながそれを楽しむ。
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