841人が本棚に入れています
本棚に追加
その腫れた目で授業にでるのかと驚かれたのか呆れられたのかよくわからない反応をされたが、さぼるとかそういうのはあまり得意じゃなかった。
じゃあ、放課後遊びに行くぞと言われたので思わず頷いてしまった。
多分それ位弱っていたのだ。
雨はもうやんでいて、青空がのぞき始めていた。
だけど、これは想定外だった。
自転車通学の河澄の自転車の後ろに乗るように言われて思わず「無理、無理。」と首を振った。
「ほら、変な噂立てられるかもだし。」
いい加減あいつを基準に物事を考えるのはやめたいのだが、永田が一番心配してたのもそれだった。
「は? そんな事で俺が女にモテなくなると思ってるんだ?」
軽い口調で河澄は言った。
頭をガツンと殴られたみたいな気分だった。
「はは、あははは。」
突然笑い出した俺を怪訝そうにみる河澄に、気にするなと言って自転車の後ろに立つ。
車輪の横にある金具に足をかけるのだが中々難しい。
上手くバランスが取れず、かなり強く河澄の肩を掴んでしまう。
「悪い。」
「大丈夫っ。」
河澄は学校からの坂道をノーブレーキで下る。
「うわあああわああああ。」
思わず出てしまった叫び声に、前から河澄の笑い声が聞こえた。
雨でぬれたアスファルトの上を滑るように自転車が前へと走る。
自転車に乗って風を切るのは気持ちよくて愉快な気分にさえなってくる。
最初のコメントを投稿しよう!