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朝焼けの情景
「なあ、今度の三連休親いないし、うち遊びにこないか?」
河澄と二人並んで帰っていると、不意にそんな事を言われた。
「そ、それって泊りってこと?」
親がいないとわざわざ言うってことはそういうことだろうか。
付き合いだしてから3ヶ月経つ。そういうことなのだろうか。
変に言葉が詰まってしまう。
「ああ、夕飯ピザでもとって食べよう。」
そう言われて、あ……と思った。
多分、自分が思っていた事と河澄が思っていた事は少し違ったのだろう。
自分が期待してしまったことに、その期待が勘違いだったことに気が付いて恥ずかしくなる。
持っていた通学鞄の持ち手をギュッと強く握る。
「ん?ああ、俺もそういうつもりで呼んでるよ。」
河澄は俺の方をチラリと見てそれから、付き合う前より少し優しくなった喋り方で言った。
思わず横を歩く河澄を見つめてしまった。
河澄は照れたみたいにぶっきらぼうに言った。
「いや、普通好きな奴家に招くんだから期待位すんだろ。」
俺はいよいよ真っ赤になって
「……お邪魔させてもらう。」
とだけぽつりと言うのでいっぱいいっぱいだった。
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