夕陽の色

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ただ単に俺が気が付いていなかっただけなのかもしれないが、そもそも隠す気があるのかを知りたくなるような見せつけっぷりで永田が女の子とイチャコラを始めたのがこのころだ。 問い詰めようかとも思ったが、俺が見た瞬間はスキンシップ過剰な程度の範疇におさまっていたし、何より、男の恋人に浮気を疑って詰め寄るというまるで女のような行動をするのに自分自身のプライドが邪魔して無理だった。 それに、いつも居る女の子が違った事も、俺の決意を鈍らせてしまっていた。 もし、浮気だったとしても本命は俺なのではないのか、そんな事を思って自分自身の自尊心を慰めていた。 だが、目の前で繰り広げられる、いかにも恋人同士ですという感じの抱擁とキスシーンを見せつけられてしまい、今俺の中にあるのは確かな敗北感だけだ。 恋に敗北なんてことは無いのかも知れない。俺という者がありながらと永田に詰め寄ってもいいのかも知れない。 でも、こんなにお似合いの二人と、平凡でしかも男な俺、比較するまでもなくあっちの方が良いに決まっている。 キスし終わった永田と視線が合う。 茫然と立ち尽くしていた俺だが、永田と視線があった瞬間、驚いて見開いた目を見てしまい、ガタガタと震える膝を叱咤して教室を離れた。 ――本当に、本当に好きだったんだ。 ぼたぼたと、流れ落ちる涙を無視しながら、学生鞄から携帯電話を取り出し、永田にメールを打つ。     
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