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「あなたは、いつから?」
隣に座る女性に話しかけられたのは、面接待ちの教室に案内されてから一時間経った頃。
しんと静まり返ったその雰囲気に耐えられなくなったのか、隣にいた私と会話をすることで緊張を紛らわそうとしているのか。
どちらにしても、くりっとした可愛らしい瞳が揺れて唇が震えているのを見たらほっとけなくなった。
「私は五年。ずっと待っていたけど、見向きもされなかった。あなたは?」
「あ。わたし、三年……」
「気にしないで。年数なんて関係ないから。傷つけられたことに変わりはないんだから」
多分、私と同じ年頃。同じ女とは思えないほど可愛らしい。
私は目つきも悪いし、髪だってショートで金に染めてる。
この子みたいな大和撫子じゃない。今更だけど、よく話しかけられたなって思う。
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