第1章

3/5
前へ
/5ページ
次へ
 まぁこの姿になっていた時に、特に後悔はしていないみたいだからいいけどね! この幼子でしかない、ちびっこい姿で目覚めた時、私は何故だかひどく満ち足りていたのだ。何でだかは覚えてないけどね!記憶無いし!  っとと、話がズレちゃった。……そうそう、初詣の話だったね?  初詣にはたくさんの人間が来て、挨拶と願いを捧げていく。……最近は願い事しかないことも多いんだけどね。本来は願いではなく目標とか抱負を告げるのだけど、今は主流が願いだから願いで良いと思う。数の多い方が正義。民主主義万歳。  それでもって私たちの栄養になる『想い』だけれども、種類によって味が違うの。  挨拶ならベーシックな……えーと人間でいうならお米。  家内安全とか、無病息災、交通安全は肉や魚。恋系統なら甘いお菓子。他を呪う願いなら、何かを焦がしてしまって黒くなった部分、みたいな感じかな?  得意としている縁によって捧げられる願いは偏るけれど、最近は人間がどこでも恋愛系の『縁結び』を推しているから甘いお菓子な願いが多い。ぶっちゃけ、恋愛系の『縁結び』は大体の神の仕事、というか基本なのでみんな出来る。でも流行っているなら仕方ないね。  そして私も例に漏れず、捧げられる願いは甘いお菓子が多い。  甘いものは好きだから問題はないけど。辛党だったら結構きつかったと思う。  ……とまぁ、こんな感じで私は絶賛働き中だ。  お給料は先払い現物支給。  ほら、『想い』がどんどん『栄養』に変身している。 【あの人とお話し出来るようになりますように!】  赤い振袖を着て、一生懸命に手を合わせている女の子。どんぐり色の髪がふわっふわ。 ――あら、可愛い。勇気を持つことが重要よ。まずは挨拶からどうかしら? 甘酸っぱい、早摘みの苺。 【○○君に告白できますように!】  ダッフルコートに黒いパンツ。長い綺麗な黒髪を一つにまとめているカッコいい女の子。 ――うう~ん。それはあなた次第ね。大丈夫、そんなに強く願っているんですもの、ちゃんと言えるわよ。(※プライバシー保護のため、名前は伏せ字よ!)  熱いほかほかのフォンダンショコラ。 【○○さんが僕を見てくれますように】  厚い眼鏡をかけた、ちょっと髪がぼさってる男の子。魂の色がとっても澄んでいるし、眼鏡の下はそこそこに整っている。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加