第1章

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――そうねぇ……。まずはあなたが彼女の視界に入るように努力しないとね。頑張って己を磨きなさい。(※やっぱりプライバシー保護のために名前は秘密よ!)  まっさらな卵と砂糖のスポンジケーキ。 【今年こそ、○○大に合格できますように!!!!お願いしますっ、神様仏さま!!!】  それ絶対部屋着よね?な格好の女の子。ぎりぎりお風呂には入っているけど、それ以外は全てを勉強に捧げていると思われる。 ――おおっとぅ。これはどこからツッコんだらいいのかしら……? お隣さんにも頼んでいるわねぇ。でもお隣さんはスパルタだから願いを叶える手伝いはあんまりしなさそうよ? ……何はともあれその気合で勉強していたら受かるわ! ラストスパート頑張って!  しょっぱくてちょっと硬いお醤油のせんべい。 【あの子がアイツと別れますようにあの子がアイツと別れますようにあの子がアイツと別れますようにあの子が……】  身ぎれいにして、ファッションにも気を使っているのが分かる今風な男の子。  でも、魂がちょっと影っている。 ――きゃぁぁぁ!! そんなねっとりべたべたな願いはやめて! お腹壊しちゃう!!!  とっても苦いうえに、だまになっている焦げたチョコレートドリンク。 ――うーん、今年はこんな感じかなぁ。他にも色々あるけど、全部紹介していたら、きっとお腹いっぱいになってしまう。やっぱりお米やお肉、お魚な『想い』が少ないなぁ。  社の中に貯まっていく『想い』をのんびりと眺めながら分析する。  え? 何で社にはいないのかって? ずっと社の中って結構くたびれちゃうのよ。  社の外、人間たちの側で私は見守っている。だからお正月に限っては、わざわざ鈴を鳴らさなくてもちゃんといるんだけどね!!すごい近くにいるんだけどね!! ひっきりなしに家のインターホンを押されているような感覚なのだけど、私が人間でもそこに鈴があったら鳴らしたい。絶対に鳴らしたいから文句は言わない。  たまに『視える』人間が私に気付くこともあるけど、何せ私は青いワンピース姿の幼子だ。普通に見たら、遊んでいる子供にしか見えないので神とは気づかれない。  専門職系の人がごく稀に気付いたとしても、かなりの頻度で二度見、三度見される。
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