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顔洗って、歯を磨いて、五分、朝ごはん食べてる時間なんかない。
学校までは走って五分、トランペットの準備に五分、なんとか7:45からの朝練に間に合いそうだ。
私は急いで玄関に向かう。
ママが私を追ってくる。
「みいちゃん これ」
立ち止まって振り返ると…
「はい、内緒で食べなさい」
水筒とおにぎり二個を手渡してくれた。
「ママサンキュー」
バリバリの中学2年生が、朝ごはん抜くと給食までもたないのは、ママはしっかり分かってる。普段素知らぬ顔して自由にさせてくれるのに、昔からこういうところには抜かりがない、だからママは大好きだ。
「行ってきまーす」
靴を履いて外にでようとした時、ママは大声で言った。
「そういえば、お向かいの二階堂さん、海外赴任から帰ってきたって、昨日ご挨拶があったわよ」
──バタン!
ドアを閉めて外にでると、道路を挟んだ向かいの一軒家のガレージに、見慣れない車が入っている。1ヶ月ほど前に借りていた人が引っ越したのは、知ってたけど、二階堂さんっていう人が帰って来た? という事は持ち主かな、どうでもいいやそんなこと、とにかく走らなきゃ!
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