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「その…失礼ながら、私はハクコ様が姉さんを連れて行ってしまったと思っていました。
…けれど、今日こうしてハクコ様とお話して、その思いは間違いだと悟りました。
…ハクコ様は、姉さんとはどの様に知り合ったのですか?」
「そうだね…まずは誤解を解いておくとしよう。
リンが死んでしまったあれは、雨によって緩んでしまった崖が崩落した純然たる事故だ」
「でもあそこはもう何十年も崖崩れが起きていない安全な道だった筈です」
「最近崩落が起きたあの山で鉄鉱石が取れるっていう話があるよね?
それで採掘の為に無理矢理山を掘ってるって話を聞いた」
「は、はい」
「その採掘が原因なんだろうね…あの山、かなり土が緩くなっていたんだ。
村の長にはあの山での採掘をやめる様警告を促したんだけど、村の利益になるからと聞いてくれなくてね…。
それに雨が重なって…不運が重なった末、リンが巻き込まれたあの崩落事故が起きた」
「…そう、だったん、ですね…」
「村の長には厳しく言って聞かせたから、もっと安全な採掘になると思う。
リンの様な犠牲者は出ないし…二度と出させないさ」
「…申し訳、ありませんでした。
ろくに知りもせず、ハクコ様を疑う様な真似を…」
「仕方が無いよ。
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