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その頃からリンは僕にも分け隔て無く接してくれてね。
いやぁ、毎日がしっちゃかめっちゃかで楽しかったよ」
姉さんとの過去を思い出しながら紫煙を吐くハクコ様は、笑みを堪え切れない様子だった。
…本当に、姉さんとの日々は、楽しい物だったんだ。
見ているだけで、そう感じさせる笑みだった。
「それでは、姉さんとの婚礼の儀の時に言っていた、君の身も危険になるとか、時間が無いって…」
「…リンの様な魂を持つ人間はね、輪廻の輪には入れず、時が過ぎれば消滅してしまうんだ。
そうして、リンを人ならざるモノにすれば、リンの魂を現世に留める事が出来る、という事が分かった。
…だから僕はリンに愛を伝え、リンも僕の求婚を受け入れてくれて…リンが婚礼の儀に飲んだあのお酒は、人の魂を人ならざるモノに創り変える事が出来るんだ。
…あ、宴会で振る舞われていたのは普通のお酒だから、安心して良いよ」
「あ、は、はい」
「いやぁ…人間と人ならざるモノが結婚するなんて三百年振りだから、周囲の説得や根回しとかの準備に時間が掛かっちゃって…。
それで、リンの魂の期限ギリギリになってしまったんだけど…。
そうそう、人間の世界に伝わっている伝承は、多分その三百年前のお狐様の物だよ。
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