1人が本棚に入れています
本棚に追加
雲一つ無く晴れていて、けれど雨が降っていた、そんな時に、
姉さんは、もう何十年も崖崩れが起きていない山道で起きた崖崩れに巻き込まれて死んだ。
みんなは、口々に言う。
姉さんは、お狐様に選ばれたんだ。
姉さんの魂は、お狐様が慰めてくれるって。
違う。
姉さんは、お狐様に選ばれたんじゃない。
お狐様が、姉さんを殺したんだ。
姉さんが、とっても素敵な人だから。
だからお狐様は、姉さんを殺して自分の物にしたんだ。
そう考えた私は、この村で唯一ある神社に忍び込み、書物を読み漁った。
そうして、私の知りたかった事、その全てが書かれた書物を見つけ出す事に成功したんだ。
分かった事は、三つ。
一つ。言い伝えは…お狐様の存在も、嫁入りの話も本当だという事。
二つ。この神社が婚礼の儀式で使われるという事。
三つ。その婚礼の儀が終わってしまったら、嫁入りした女性は完全に向こう側の…神様や、妖と同じ存在になってしまうという事。
その書物には、婚礼の儀の詳細も書かれていた。
これなら。
この情報があれば、お狐様から姉さんを取り返せる。
姉さんを取り返して、遂げられないと諦めていた願いを遂げるんだ。
…そうして私は、計画を実行に移した。
最初のコメントを投稿しよう!