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「姉さんを開放しろ…姉さんを…姉さんを返せ…ッ!」
「ミヒロッ!?ミヒロなのッ!?」
女性が声を荒げる。
この声。
ああ。
やっぱり。
やっぱり、この人は、姉さんだった。
良かった。
姉さんで、良かった。
「姉さんッ!その化け狐から離れてッ!」
「ミヒロッ!銃を下ろしてッ!」
「早くッ!早くッ!」
「ミヒロお願いッ!銃を下ろしてッ!」
「この化け狐がッ!
よくも姉さんを…よくもよくもよくもッ!」
「違うんですハクコ様ッ!
この子は何も知らないんですッ!」
「姉さんッ!!早くッ!!」
「ミヒロッ!!ミヒロッ!!」
「君が、リンの妹君かい?」
お狐様は、
今まさに、銃口を向けられているのに、
この距離で当たれば、タダでは済まない事は分かっている筈なのに、
お狐様は、
おっとりとした口調で、そう言った。
「初めまして。
僕が君達にお狐様と呼ばれている、ハクコと言います」
お狐様は自らが着けていた狐の面を外し、懐から眼鏡を取り出して掛ける。
…隈取りの様な青い刺青を入れた、柔らかく、優しく微笑むその顔を見た時、初めは、男性だと思えなかった。
顔付も、目付きも、今まで見て来たどの女性よりずっと、ずっと綺麗だった。
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