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…喜ぶのに精一杯で、泣いてる暇なんか無いよ」
姉さんは私から離れて、笑う。
雨の中、それでも咲き誇る、向日葵の様な、きらきらと輝く、
私がとても良く知っている、嬉しさを隠し切れない笑みだった。
「…ね、ミヒロ。
良かったら婚礼の儀に参加しない?」
「私が…?」
「うんっ!
狐の婚礼の儀に人間が混ざるなんて初めての事だろうけど、あたしも家族に見守られながら嫁ぎたいからさっ!」
「…良いの?
お狐様に嫁いで…本当に良いの?」
「…うん。
ハクコ様、本当に良い人だよ。
…あたしはハクコ様に嫁ぐ事が出来て、本当に…心の底から嬉しいって、思ってるよ。
…ミヒロにも、あたしの幸せな姿を見て貰いたいの」
「……………………うん。
お狐様が、許してくれるのなら。
姉さんの幸せな姿を、私も見たい」
「そういう訳なんですけど、ハクコ様、良いですか?」
「うん。
妻となるリンの親族が婚礼の儀に参加してくれるなら、むしろ大歓迎だよ」
いつの間にか姉さんの後ろに立っていたお狐様…ハクコ様は満面の笑みで承諾してくれると、懐から狐の面を取り出し、私に手渡してくれた。
「この仮面を着ければ君もこの婚礼の儀に参加出来るよ」
「あ、ありがとう、ございます」
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